1.海洋微生物の機能を開発・利用するため、低窒素同化細菌、各種有機物分解細菌、脱窒細菌、アンモニア酸化細菌、微細藻類などを海洋環境において探索した。分離した2687株の従属栄養細菌から、デンプン分解能の強い37株、カゼイン分解力の高い13株、トリブチリン分解能の強い1株を有用菌株として選別した。微細藻類(酸素供給者)およびアンモニア酸化細菌は、いずれも純粋培養に至らなかった。低窒素同化細菌として897株を分離し、微量窒素同化能の優れた5菌株を選別し、アンモニア同化の諸要因について検討した。 2.低窒素同化細菌の増殖速度は窒素源として用いたNH_イCl濃度とともに増大したが、Ks値は5.70μMで、高い親和性が認められた。細胞のアンモニア取込みはpH7、30℃付近で高く、NH_イClに対するKs値も15.2μMであり、効率的に微量窒素を同化した。 3.細胞固定化により有用微生物の高度利用をはかるため、有用微生物として低窒素同化細菌、担体としてκ-カラギ-ナンあるいはポリアクリルアミドゲルを用いて細胞の固定化を試み、細胞固定化ビーズによるアンモニア同化能を調べた。κ-カラギ-ナンに包括固定した低窒素同化細菌によるアンモニアの取込み活性は、pH5〜7、40℃付近で高く、NH_イCl濃度の増加とともに増大した。ポリアクリルアミドゲルに包括固定した低窒素同化細菌によるアンモニア取込み活性は、pH7、30℃付近で高く、固定化細胞ゲル量がアンモニア除去効率に直接関連していた。 4.汚水処理の現場応用化のためのモデル水槽実験により、低窒素同化細菌は汚染有機物を急速に分解し、同時にNH_イ^+も除去することができた。ゼオライトに吸着させた細胞も、懸濁状態の細胞に比して、有機物分解能、アンモニア除去能に差異が認められなかった。
|