研究概要 |
フノリ粉末が血圧降下、血清脂質の改善に著明な効果を有する点に着目して、夫々の作用機序を明らかにするために研究を行い次の成果を得た。 1)マフノリの熱水抽出物の95%エタノール沈殿画分を透析後5%CPCで沈殿させた。本画分を4MKclに溶解後エタノール沈殿を集めて2%トリプシン処理(PH7.0)し、トヨパールHW-65Fにかけて得た画分をセルロースアセテート膜電気泳動に付すと単一バンドを得た。この精製フノランの平均分子量は約9万であった。 2)フノランの化学性状を調査するために、PH6の酢酸、酢酸ソーダ緩衝液中でアガラーゼを48時間作用させ、99.9%エタノール沈殿画分をセファデックスG-25のゲル3過に付したところ単一のピークを示し、TLCでネオアガロビオースと同定された。本物質のIR,^<13>C-NMR,H-NMRからガラクトースと3.6-アンヒドロガラクトースが1.4結合し、ガラクトースの2位と3.6-アンヒドロガラクトースの2位に硫酸が結合したエステル硫酸であることが証明された。 3)フノランを投与すると、実験的に食餌性高血圧、高脂血症を起こさせたラット血清の総コレステロール、遊離コレステロール、中性脂肪、低比重リポタンパク質・コレステロールが低下し、高比重リポタンパク質・コレステロールの上昇が顕著であった。 4)フノランを投与すると、血圧は低下し、排尿量と尿中の電解質の排泄が増加したが、フノランは利尿を促進し、血圧を低下させると考えられた。さらに、血清中の血液性状の改善効果は血中、末梢血管から肝臓へ脂質転移後肝中にコレステロールを蓄えるのではなく、血中の脂質を糞中に排泄させたものと考えられた。
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