研究概要 |
農業という家業を中心に構成されていた直系家族は,若年層の職業選択の自由化とともに大きく変容している。親世帯と後継者世帯の分化は,同一屋敷内での別棟居住等,事実上の夫婦家族化となって現象していること,夫婦がそれぞれ別な職業に就くことが当然であるような意識が形成されていること,その結果,農業生産の場での協業編成が,同一家族に限定されず,青年農業者の“家族"をこえた協業を生み出していること等々である。本年度は,そうした妻は勤め,後継者は農業という姿をとる青年農業者達が集まって組織した法人経営を中心に調査した。その場合,有限会社形態をとる法人においては,法人での仕事(作業)が,勤め先の仕事と観念されるようになり,経営形態及び組織運営,就業状態等々は,中小企業のそれと酷似したものとなっていることを明らかにした。そこでは定休日,勤務時間,社会保険等,新政策が課題とする“経営体"の内容がすでに実態化している。そうした経営体が一般的に成立する条件の解明は次年度の課題としたい。
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