研究概要 |
初年度は、(1)環境評価方法についての文献サーベイ,(2)一般均衡を前提としたモデル構築のためのデータ収集ならびに入力 (3)モデル構築の際の定性的要因を折出するための実態調査(沖縄)の3点について調査研究を行なった。以下成果を列記する。 まず文献サーベイより,従来からの環境評価方法について検討を加えた。その結果,ヘドニックアプローチ,コンティンジェント・アプローチ,トラベルコスト・アプローチなどの代表的な方法には、モデル構成や計測において恣意性があり,またそれらの方法が前提としている部分均衡分析の限界があきらかとなった。このことは、本研究が意図している一般均衡的モデルを前提とした評価方法の必要性を確認するものである。 第二に,一般均衡モデルの構築であるが,応用一般均衡モデル(AGE)構築のために必要とされるデータは膨大である。本年度はその一部について(価格,国内消費,国内生産,貿易)データを収集し入力した。来年度はこれをもとにAGEモデルの構築を行なう。 最後に,本年度実施した実態調査では,沖縄県における赤土の問題のヒアリングを行ない農業生産のもつ外部性だけでなく,外部不経済の評価をも検討しなければならないことを確認した。一方,沖縄県では,果汁の自由化にともない,パイナップル畑を中心に,急速に耕作放棄がおきており大きな問題となっている。このような耕作放棄の土地をどのように評価するかは,一般均衡モデル構築上の大きな課題であることが確認された。
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