「既存の産業に対するDRC指標は1である」というバグワッティー=スリニバサンの主張があるにもかかわらず、現在でも既存の産業に対するDRC指標が計測され続けている。農業政策をDRC指標を用いて評価するためには、まずこの点をクリアーにする必要があることから、本年度は主としてこのような理論的検討がなされ、成果の一部は『アジア経済』第34巻第1号に掲載された。概要は次の通りである。 セカンドベストのシャドウプライスを前提とすると、そのようなフレームワークの下では、新規の財を生産するプロジェクトではunder-utilizedされる本源的生産要素は存在しないが、既存の財を生産するプロジェクトでは、under-utilizedされる本源的生産要素は存在する。このようなunder-utilized fectorsをシャドウプライスで評価したものがバグワッティ等のDRCであり、これらを捨象したのが一般的に使用されているDRCである。言い換えれば、社会的機会費用の定義が異なっていたことが明らかとなった。 また、日本の産業連関表のデータをAPL言語に変換し、データベースを作成した。これに基づき、パイロットモデルを作成し、DRC指標の計測に着手した。同様に、韓国のデータの収集も一部行った。
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