地域資源の利用という観点から、農村と都市の関係を歴史的・理論的に検討し、あわせてその現代的意義と方向を現実の動きの中に探究することが、本研究の課題である。当面、もっとも基本的であるとともに、賦存量が固定的であるために、都市・農村の間で利害対立の生じやすい土地と水を中心に研究を進めた。 平年4年度は、とくに土地資源をめぐる都市・農村関係の研究に力点をおいた。その具体的内容は3本の柱からなる。(1)都市・農村関係の歴史的・理論的研究。かねて収書済みの関連図書・資料を改めて整理するとともに、東京において関連資料をできるかぎり収集することに努めた。第2は、播磨工業地帯の中心である姫路市域とその後背地として急速に宅地化の進んでいる香寺町における土地利用と生活系廃棄物処理に関する聞き取り調査である。第3は、上記2地区における意識調査(アンケート)である。 現段階において得られている知見はおおよそ次の3点である。(1)都市・農村双方の抱える諸問題は、経済・生活、生態環境のそれぞれに密接に関連しており、双方の均衡ある発展のためには、これら3側面をいかに調整し、全体としての総合価値を高めうるかにかかっている。(2)都市住民の土地利用指向は宅地の量的拡大のみにあるのではなく、快適な生活空間の形成にある。この点で農地に期待されるところが大きい。(3)生活系廃棄物のリサイクルについては、弁別収集に関する意識改革とともに制度上の整備が重要である。コンポスト化は有効な対策であるが、その利用先を制度的に確保することが求められる。 なお、本研究に係る費用は平成4年11月に交付されたため、研究成果を公表できる段階にまで十分分析しえなかった。本研究は次年度までの継続を予定されているので、その成果とあわせ順次公表していきたい。
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