北海道の降雨-流出形態の分類に研究にあたり、以下の作業を行い、また、以下の結果を得た。 1.北海道の降雨分布の地域性をみるため、継続時間1〜6時間の降雨強度を調ベ、継続時間毎に降雨強度図を作成した。これにより、北海道の強雨特性を有する地区を特定することができた。 2.北海道内の直轄明渠排水事業等による降雨〜流出観測資料および石狩川流域ダム関連の河川流量観測資料の収集を行った。 3.石狩川水系流域から幾つかの小流域を選定し、流出モデルのうちタンクモデルを用いて流出解析を行い、モデル係数の差異から土壌、地質等の関係について検討した。総降雨量が多い方がタンクモデル一段目下の流出孔係数は大きくなる傾向がみられ、火山灰性土、埴壌土、粘性土の順に大きくなっている。泥岌土は他の土壌とは異なる傾向を示した。 4.降雨特性の与える影響および降雨特性を表わす因子について重回帰分析を用いて検討した。説明変数として降雨継続時間、総降雨量、降雨両時間内平均降雨強度、降雨時間内最大降雨強度とし、また目的変数としてタンクモデルの各係数とすると、どの時区も1段目タンクの下の流出孔係数および4段目タンクの流出孔係数が強く降雨特性の影響を受けており、時に、降雨が浸透しやすい火山灰性土壌の地区は、全体的に流出孔係数における寄与率が高くなる。さらに、最も影響を与える因子は土壌により異なり、火山性土は総降雨量が、粘性土には最大降雨強度が最も強い因子となっていることが判明した。
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