研究概要 |
北海道の降雨〜流出形態の分類の研究にあたり、今年度は主に造成流域(蹄耕法による放牧地)と林地流域(林内放牧地)の降雨流出形態の分類について検討し、以下の結果を得た。 1.石狩川水系における降雨流出形態の分類では、重回帰分析から、どの地区も1段目タンクの下の流出孔定数および4段目タンクの流出孔定数が強く降雨特性の影響を受け、影響を与える因子は土壌で異なることが判明した。 2.放牧地と林地の降雨流出形態の分類では、流出特性は放牧地は林地に比べて流出量が多く、また放牧地は林地に比べて蒸発散量が少ない。放牧地の比ピーク流量は林地に比べて2倍以上の値を示し、放牧地は直接流出逓減部の流量の減少が急速であり、多くの資料では降雨終了後短期間内に林地流域の比流量より小さくなっている。 3.放牧地流域のピーク流出率はそれが最も大きい中後山型降雨において0.4〜0.6に達し、林地流域の2倍以上であった。 4.タンクモデルによる流出解析を行うと、1段目タンクの上部および下部流出孔係数が放牧地流域の方が林地流域よりも大きく、また上部流出孔高さが小さく放牧地流域が流出しやすい。また、長期にわたり水収支,および蒸発散量を考慮したタンクモデルによる長期流出解析をおこなうと。放牧地の1,2段目の浸透孔係数は林地よりも小さく、放牧地は林地より流出しやすくなっていることが判明した。
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