研究概要 |
水田跡地のナシ,ブドウ及びオウトウの各樹園地における各果樹の根群分布と土壌中水分の変化について調査を行った。また,タンクモデル法による土壌水分収支の手法を山形大学付属農場内のカキ樹園地に適用して,土壌水分収支の解析を行った。更に,茎熱収支法をオウトウとイチジクの苗木に適用して,幹内流量(蒸散量)の測定を試みた。これらの結果,次のことが明らかになった。 1.西洋ナシ樹の場合,深度50cmで,pF値2.7以上の出現回数が3回,継続日数が6日から8日間の値を示した時に,葉やけは大量に発生した。これに対して,深度10cmで,pF値2.7以上の出現回数が1回,継続日数が2日間の値の時に,葉やけは発生しなかった。日本ナシ樹の場合,深度70cmで,pF値2.7以上の出現回数が3回,継続日数が7日から8日間の値を示した時に,葉やけは発生しなかった。従って,西洋ナシ樹園地を造成する際には,西洋ナシ樹に土壌水分変動のストレスを与えないように,灌水施設を設置して畑地灌漑を行うことが必要である。 2.水田跡地におけるナシ,ブドウ,オウトウ及びカキ樹園地では,いずれも日中蒸散により,土壌水分張力値は顕著に増大し,夜間に漸減する通日変動を示した。 3.ブドウ樹,カキ樹及びナシ樹のような深根性の果樹を定植する場合には,定植前に、樹園地としてふさわしい土地基盤に整備しておく必要がある。
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