今年度は事例調査を主として行ない、田園地帯の中央に、公園、集会施設をつくった大分県宇佐市、過疎地帯の活性化を目指す徳島県東祖谷山村、土地利用計画に特徴のある長野県宮田村、住宅団地、工業団地を農村に設けている愛知県豊橋市、体験学習、公園を設け、地域の活性化を図る群馬県甘楽町の調査をした。 農業の自由化、農村の生活環境向上を背景として、農用地を転用して公園緑地が整備されつつある。非農用地を含む地域住民の要望は、集落単位では、ゲートボールを中心とするスポーツ用の公園、乳幼児や児童の遊び場である。正月や夏休みに訪れる都市在住の孫等の遊び場も考慮すべきである。数集落以上の単位では、野球場やテニスコート等のスポーツ公園である。大きな公園の場合には、地域を訪れる都市住民を含めての施設も考慮する。農村整備事業で整備する小公園では、予算に制限があり、景観の配慮が難しい。農村の小公園の管理には補助金がなく、地元管理に任せざるをえないか、その体制を充分しておかないと、公園が荒れる恐れがある。計画の際には、地元の住民参加が必要である。神社の境内を利用する場合があり、少ない予算の中で、鎮守の森の景観を活用できる。ただし、その場合は、子供の遊び場である。農用地地帯の中心に作る場合は、数集落以上の大公園である。 農産物の価格低落や減反で、中山間地帯で農地の荒廃化が現われている。その農地を活用して、宿泊施設付きの体験農園を整備し、地域の活性化、住民の生活環境改善を図ることができる。その場合、農業に詳しい指導者の育成及び、地元農民の協力が必要である。また、都市の児童に魅力のある農業体験プログラムの開発をする。地域の特産性を開発し加工して付加価値を高める。
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