今年度は事例調査を主として行なった。集落整備を行ない農振白地の整備をした静岡県袋井市延久地区、集落環境整備パイロット事業を行なった広島県、土地改良周辺環境保全事業を行なった滋賀県、土地改良事業で住宅地域をつくった大阪府堺市陶器北地区、福井県鯖江市鳥羽地区、千葉県千葉市椎多地区の調査をした。 62年の集落地域整備法制定を機会として、農振白地も土地改良事業の対象となった。農振白地は一般に農業集落居住区周辺にあり、農村の住環境整備に重要であるが、その整備手法は確立していない。農振白地のうち、宅地化する農地と、暫らくは農地として使用する土地に区分する。土地改良の換地制度を活用して、それぞれ団地化する。暫定的に農地として使用する地域の整備は、一般の土地改良事業とは違い10a程度の小区画とし、幅員5〜6mの広い農道とし、用水路も開水路で整備する。原則として畑として使用するが、畑でも排水路を設定する。換地は原地換地を基本とする。いずれも、将来の宅地化を考慮したもので、農家の事業参加に効果がある。なお、事業に対する住民組織としては、農家だけによる土地改良区では不充分であり、宅地地域、暫定農地にも、非農家を含めた組織をつくり、かつ、それらの連合組織を整備する。 住環境を改善するには、たんに基盤を整備しただけでは不充分であり、それらの活用のため地域コミュニティの活性化を図る。住民参加による環境基盤整備をする。
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