農村の生活環境を整備するには、集落内だけで考えるのでは不十分で、農用地、林野等農村全域で考究しなければならない。生物の住めないところに、人も住めないので、生態系保全は基本である。そして、物、施設というハードな建設だけではなく、水、緑という基盤から計画しなければならない。農村には、農用地という緑が一面にあるが、これは特定作物以外の緑を排除している。無くなりつつある農林業対象以外緑地が、生態系保全に重要で、その地域独自の景観を形成している。日照に配慮しながら、道路、水路に植栽し、線の緑を確保する。 わが国は、降雨量の多い国であり、それを基として、水田を中心とした農業が行われ、半自然生態系ができている。しかし、水質汚濁、水路のコンクリート張りで、壊れつつある。魚の住めるような水質を回復し、親水が可能なように、水辺環境を復元する。水路は、水深に変化を付けたり、法面を穏やかにし、小動物が住めるようにする。水路は、なるべく石積みにする。幹線用水路、溜池、沼周辺に親水ゾーンを設ける。溜池、沼のヨシ、アシを復元する。 農村も空地がなくなってきたので、公共のオープンスペースを確保する。その機能は、子供の遊び場、スポーツ広場である。子供が少ない農業集落では、遊び場は盆踊り等、多目的に利用する。農村は高齢者が多く、ゲートボール場を設ける。スポーツ広場は、サッカー、野球、テニス等である。都市近郊では、都市の住民も利用している。農村の小公園は、地元の管理が多く、計画前から管理体制に配慮する。 農業集落内の道路は、通過交通が少なくなるように集落外周道、バイパス等を配慮する。自転車で安全に通学できるように、農道を活用した通学道ネットワークを整備する。
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