地すべりの活動が地下水と大きく関わっていることは、これまでの調査、研究から明らかである。本研究は北陸地方に広く分布している第三紀層地すべりのクリープ的地すべりの動的変位と地下水の関係について明らかにしようとするものである。現地観測は新潟県北魚沼郡守門村地内の東野名地すべり地で行った。多積雪地である北陸地方の地すべりでは、とくに、冬期間の観測には自動観測システムが不可欠となる。このことから、本年度の研究作業は地下水データ収集の自動観測システムの構築を重点項目として進め、データ収集を行った。地すべり変位の測定は積雪期間、無雪期間について定期的(5月、12月)に継続観測を行った。地すべり表面の変形挙動の解析は面的(二次元)・時間的な検討を試みた。地下水の挙動についてはこれまでの観測システムにさらに観測点を増設し、地下水位、間隙水圧、地下水排水量の詳細な水文データの収集を行った。 以下に本年度の実績・成果を報告する。 1.自動観測システムおよびデータ収集 地下水位観測 2点 測定間隔;1時間 間隙水圧観測 2点 測定間隔;6時間 排水量観測 3点 測定間隔;2時間 本自動観測システムにより高精度の連続データの収集が可能となった。 2.地すべりの表面変位は積雪期(融雪期)に大きく現われている。「変位等値線図」を提案することにより、表面変位の分布状態が明らかとなった。 3.地下水位、地下水排水量、間隙水圧は降水量と高い相関関係を示し、融雪期(3月〜5月)において最大の値を示した。
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