研究課題/領域番号 |
04660255
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三野 徹 岡山大学, 農学部, 教授 (10026453)
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研究分担者 |
赤江 剛夫 岡山大学, 農学部, 助教授 (10123423)
足立 忠司 岡山大学, 農学部, 教授 (20012007)
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キーワード | 土層境界 / 界面電気現象 / 誘電率 / 高周波誘電率 / 水分子 / 土壌物理性 |
研究概要 |
本年度は主として実験装置の組立を行うとともに、いくつかのモデル試料について予備実験を行った。本研究の目的は異なった土層の境界面に生じる電気化学現象の把握であるが、そのためには先ず各々の土層についての基礎的な電気的性質を把握し、それを全体の性質から分離する必要がある。界面に生じる電気現象は低周波領域に主として現れ、土層中の個々の性質は高周波部に現れることを見い出した。とくに本年度は10MHz以上の高周波特性を測定して、個々の土層の性質を把握することを中心に研究を進めた。 100MHz以上の高周波での測定には多くの困難が伴い、従来からも測定例は少ない。本研究では、土壌中の電導体を伝わる電気現象の速度が周辺の誘電率により決まることに着目した新しい誘電率測定装置を開発した。この方法により、10MHz〜10GHzの範囲の誘電率を測定することが可能となった。この周波数範囲では、水の分子構造に起因する誘電緩和現象が見られ、それにより水分子の状態を直接観察することが出来ることになる。 砂質土ではこの方法により水分子の状況を把握することが出来たが、粘質土やイオンを多量に含む土壌については測定が不可能であった。このような高い周波数の領域ではイオンによる電荷輸送の影響は無いのが従来の考え方であるが、これまでの実験では大きな影響があることがわかった。装置自体が原因なのか、あるいは水分子の性質に起因する現象なのか本年度の研究では明らかにすることが出来ず、次年度の課題として残った。 なお、pHやpe、ECなどを指標にした土壌物理性の基礎実験は順調に進んだ。それらの指標を仲介にして土壌中に生じる電気現象と土壌物理性との関連についての検討は次年度に行う予定である。
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