北海道のような積雪寒冷地域でにおける融雪流出は、地域の利水上、特筆すべき現象で有効に取り扱うことが望まれる。この研究では、融雪流出量に着目して利水計画を立てる場合、いつ、いかなる積雪・融雪を把握し、コントロールしていくことが効果的かを水文学的に考究した。この結果は以下のようである。 1.融雪期の流出状況を把握するために試験小流域を設定した。小流域内には流量のほか水温、気温の観測も行い、同流域で行った既存の流出データでみられた融雪期の流量変化を確認できた。融雪流出期における河川流量の日変化は正午前に小さく、日没の頃最大となる。 2.流域斜面における融雪水の移動現象を把握するために濁度計を用いた流出土粒子の観測によれば融雪流出波の立ち上がり後まもなく濁度のピークを迎え、流出ピーク時には低減していく状況から融雪水の流出過程は表面流出の形態がとられているとみられた。 3.試験流域に隣接した試験圃場において融雪量のライシメータによる観測を行った。ライシメータは融雪量の積雪下層におけるものと表面層におけるものを区別できるよう設置した。この結果、表面層においてとらえた融雪量の変化の方が河川流出量との応答がよいことがわかった。 4.寒冷地域の中小河川における融雪出水の利水では積雪・融雪過程が表面流出の様相の大きい流出をもたらし、降水量として積雪は有効に流出し水源として機能しているとみられた。
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