1. 人工種子のロボットによる播種の研究 人工種子(capsule seeds)は植物工場等での利活用に期待されることから、人工種子の疑似種子と小型ロボットを供試してピックアップの基礎実験をした。人工種子の替りとしてゼリーボール(ゲル化剤としてアルギン酸ナトリウム、硬化剤として塩化カルシウムを含み人工種子のカプセル成分と同じ)での検討結果、ノズル形状は半球面形状をしたゴム製がよいこと、種子層へのノズル進入方法はスライド型が種子に損傷を与えることが少ないこと、人工種子の表面は粘質のためホッパーへ振動を与え流動性を高めること、ホッパー形状は漏斗型がよいこと等、表層の特有な軟弱・粘性等がピックアップの性能に強く影響を及ぼすことを明らかにした。 2. コンピュータ制御によるマルチ播種の機構と制御の研究 農産物の生産性向上に有効なマルチ裁培の播種作業の自動化として、フィルム孔位置、種子、播種速度の検出機構、シャッタ開閉機構および種子欠粒補給機構、および播種のタイミングを演算制御するマイクロコンピュータを開発した。マイクロコンピュータへの入力信号はフィルム孔検知センサー、種子検出センサー及び播種速度検出ロータリエンコーダの3要素で、出力信号はシャッタの開閉制御の1要素からなる制御回路であるが、その特徴はコンピュータ1台で2条の播種を制御することにある。 フィルム孔径40mm、播種速度50〜300mm/secの条件でピーナツ種子を供試した室内実験の結果、コンピュータ制御の本播種機構によるフィルム孔内への種子進入位置は、どの播種速度にもフィルム孔径の中心から5mm以内の範囲で実行されたことより、本播種機構および制御回路は正確な播種が可能であることが証明された。
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