研究概要 |
【平成3年度までの成果】 1.水稲用標準葉色カラースケールの単葉法のカラー画像を画像処理装置(PIAS LA‐555)に取り込み,R,G,B輝度値から2値化処理によって単葉の葉色を計測できることを示した. 2.リモートセンシングに適した群落法で1.と同様の2値化処理を試みたが,群落法では計測できなかった. 3.そこでカラースケールの1〜7番と群落の計24個の平均R,G,B輝度値を説明変数とし,人間が判定したカラースケール値を目的変数とした重回帰式を求め,この式で群落の葉色を推定できることを示した.そして晴天から曇天まで約150画面を推定した結果,晴天より曇天時のほうが推定精度が良かった. 4.次に葉色カラースケールの画像を省略する方法を検討した結果,群落の画像と共にカラースケールの代わりに単に一色の基準色を考えた.そして150画面分の画像から重回帰式を求め,水稲群落の葉色が推定可能であることを示した.基準色としては白色より葉色に近い緑色の方が推定精度が良かった. 【平成4年度の成果】 1.昨年度までは全て太陽を背にした順光条件での画像だけを処理し,斜光条件では群落の葉色推定が不可能であった.その原因は基準色板が平面のためと考えられた.そこで緑色の同一色4枚の基準色板を用意し,2枚1組で互いに90度の角度で1組は水平に,他の1組は垂直に,各面が上下,左右に45度に傾斜している立体的な基準色板を群落と共に画像として取り込んだ.すなわち,今葉色を推定しようとしている対象群落がどのような自然光の条件下にあるかを太陽の高さは上下の基準色板のR,G,B輝度値の差で,方向は左右の基準色板の差で説明しようと考えた.そして時間は朝,昼,午後,天気は晴天から曇天,葉色は3.5〜5.5,方角は東西南北とその中間の8方向で群落と共にこの立体的な基準色板を写し込んだ150画面の画像が得られた. 2.上下左右の基準色板と群落の計15個の説明変数で人間が判定したカラースケール値を目的変数とした重回帰式を求めた結果,順光はもとより斜光条件でも群落の葉色の推定が可能であることを示した. 【平成5年度の成果】 1.これまでの結果から,斜光条件でも群落のR,G,B信号とその群落がどのような自然光からの信号であるかを説明するリファレンスとしての自然光のR,G,B信号があれば,人間が順光によって判定したカラースケール値に重回帰し,その式で推定が可能と考えられた.そこで直接R,G,B電圧を発生するカラーセンサ素子5個を利用し,そのうち4個は自然光用で,増幅回路,A/D変換器を介してパソコンにデータを取り込める葉色センサシステムを試作した. 2.これまでは全て実際の水田でのデーダであったが,本年度は天気が悪く苗マットでしか実験できなかったが,色々な条件で斜光はもとより逆光でも精度よく推定できた.計画年度は越えるが来年度に実際の水田で確かめたい.
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