研究概要 |
1991年6月の第7回ファジィシステムシンポジウム(名古屋)において初めて物理空間型ニューラルネットワークの概念が紹介され,機能性素子の開発に貢献し得る概念であることが明らかにされた.物理空間型ニューラルネットワークの概念は有限要素法という極めて信頼性の高い計算アルゴリズムを適用してニューロ学習が可能である.AI分野で物理空間型ニューラルネットワークの概念についてはこの有限要素神経回路網に関するものが唯一である. 本研究は,この物理空間型ニューラルネットワークの一つのアプリケーションとして展開される.従って,物理空間型ニューロを機能性素子開発という究極的な技術的課題解決の方法論のベースとしていち早く適用を試みたところが本研究の独創的な点である.また,本研究が研究の基礎となるニューロ技術の開発者が行っているので今後の研究の発展過程においてBEMやCSMなどの新たな空間型ニューロを開発して適応していくことも可能である.物理空間型ニューロとして提案された有限要素神経回路網は,要素節点が感覚細胞に対応可能であること,回路網がボルツマンマシンの形式に類似していることから,回路網に網膜領域,記憶領域,興奮領域に任意に分割できるなどの性質が明かとなり,更に,記憶領域が学習機能を持つことが示された段階で,機能性素子が要求する情報処理機能を満たしていることから機能性撮像ディバイスの試作が将来有望視される.本研究は,この最新のAI技術として位置づけられる物理空間型ニューラルネットワークと撮像ディバイスを組合せ,植物体などを認識する機能を備えた機能性撮像ディバイスの開発を将来可能とするための基礎研究を行うことを目的とした.本研究で取り上げた具体的な研究課題を次に示す. 【.encircled1.】物理空間型ニューラルネットワークアルゴリズムの改良1.カルマンフィルタの共分散誤差係数の初期値設定法を明らかにした.2.感覚細胞・刺激細胞・興奮細胞などに対応する空間離散モデルをFEMを用いて計算速度・収束性の向上を図った. 【.encircled2.】撮像ディバイスを物理空間型ニューラルネットワークとハード的に結合した機能性撮像ディバイスの試作をする場合に必要な最適アルゴリズムの検討をした. 【.encircled3.】植物形状などの形状認識を中心に学習性能や認識機能についての検討をした.
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