本年度は、オブザーバを併合した最適レギュレータを設計して、システムの安定化を図るとともに、レギュレータのパラメータを変化させて、制御特性の検討を行った。 温室内温度環境の制御に関する実験は、模型のビニール温室を製作して行った。ポンプによって水槽の水を温室内の熱交換器に循環させ、模型温室内気温を制御した。水槽内の水温は、投げ込みクーラを連続運転させたまま、投げ込みヒータの操作量を39段階に変化させて制御した。 ヒータの操作量をランダム変化させた場合の1分毎の計測データに対して、入力をヒータの操作量、出力を内外気温差として、システム同定を行い、次数2のARMAモデルのパラメータを求めた。さらに、Riccati方程式の解および状態フィードバックゲインを求め、最適レギュレータを設計した。また、ARMAモデルのパラメータから、オブザーバを設計した。最適レギュレータとオブザーバを組み合わせることによって、出力の誤差を0に収束させる制御を実現した。 さらに、2次形式評価関数におけるq/rを0.1、0.5、1の3段階に変化させて、制御特性の検討を行った。暖房および冷房の状態を想定して、それぞれ、内外気温差を約-5℃、約+5℃の状態から制御を始めた。その結果を、図10、図11に示す。出力の誤差は、暖房の場合は、q/rが1の時はq/rが0.1の時に比べて約30分速く0に収束し、冷房の場合は、q/rが1の時はq/rが0.1の時に比べて約10分速く0に収束した。
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