温室内温度環境のシステム同定の実験は、愛媛大学農学部構内の圃場に建設したビニールハウスで行った。まず、放射量を入力、内気温を出力としたシステムについて、MAモデルおよびARMAモデルによる解析を行った。システム同定は、1分毎の計測データに対して、次数を1、2、3、5、10、15、30、60として行った。その結果、実用的にはMAモデルでも十分であるが、ARMAモデルの方が誤差がかなり小さく、小さい次数でも高い精度が得られた。また、放射量・換気扇-内気温システムについて、MAモデルによる解析を行った結果、出力の実測値と計算値はよい一致を示した。放射量が変動しても、内気温を予測し、換気扇をON/OFFさせることによって、内気温の精度の高い制御が可能であると考えられる。 温室内温度環境の制御に関する実験は、模型のビニール温室を製作して行った。ポンプによって水槽の水を温室内の熱交換器に循環させ模型温室内気温を制御した。水槽内の水温は、投げ込みクーラを連続運転させたまま、投げ込みヒータの操作量を39段階に変化させて制御した。ヒータの操作量をランダム変化させた場合の1分毎の計測データに対して、入力をヒータの操作量、出力を内外気温差として、システム同定を行い、次数2のARMAモデルのパラメータを求めた。さらに、Riccati方程式の解および状態フィードバックゲインを求め最適レギュレータを設計した。また、ARMAモデルのパラメータから、オブザーバを設計した。最適レギュレータとオブザーバを組み合わせることによって、出力の誤差を0に収束させる制御を実現した。さらに、2次形式評価関数におけるq/r(rは入力に対する重み、qは出力に対する重み)を0.1、0.5、1の3段階に変化させて制御特性の検討を行った。その結果、出力の誤差は、q/rが大きいほど速く0に収束した。
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