研究概要 |
本研究の目的は、近年、東北地方で採草用草種として局所的に増加しているリ-ドカナリーグラスの長所と短所、利用に当たっての留意点と限界を明らかにすることである。 平成4年度では、東北地方の代表的な採草用草種オ-チャードグラス及び特性がリ-ドカナリーグラスと類似しているトールフェスクと対比しながら、リ-ドカナリーグラスの低アルカロイド品種Ventureの春,夏、秋の再生過程を、それぞれ、10週間ずつ毎週調査した。その結果、リ-ドカナリーグラスは初期再生が緩慢で葉面積の確保が遅れるが、過繁茂になり難いので再生後期でも枯葉の発生が少なく、遅刈に適すること、夏は珪酸含有率が高まって特に消化率が低下しやすいこと、アルカロイド含有率は刈取後3週間位で安全な水準まで低下すること、ミネラルバランスには問題がないことを明らかにした。 平成5年度では、実際栽培での情報を明示するため、利用3年目の上記3草種の牧草地を、それぞれ、年間3、4、5回刈り取り、その収量と品質を調査した。その結果、リ-ドカナリーグラスは、乾物収量では他の草種と大差なかったが、珪酸含有率が季節を通じて高く、消化率が低いため可消化有機物収量も年間4、5回刈では他の草種より有意に低くなった。アルカロイド含有率はすべて0.20%を下廻り、問題はないと見受けられた。 しかし、極端な冷夏に遭遇し、刈取回数が少ない区も過繁茂による枯葉の発生はほとんどなく、例年の結果に反して少回数刈が有利な傾向も見られた。 したがって、さらに調査を継続し、より普遍的な結果を得た上で、成果を報告したい。
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