本年度はシロクローバの含有サポニンのシロクローバ・エコタイプ間での組成の相違、またシロクローバの緬羊による採食試験とルーメン内性状の変化などについて検討した。 1.シロクローバでは5〜6本のサポニンバンドが検出され、含量および組成はエコタイプ間で異なった。またいずれのシロクローバにでも5月末〜7月初めに高含有で秋季には低下した。 2.代謝ケージ中でシロクローバとオーチャードグラスを同時給与した緬羊の採食試験では、シロクローバの嗜好性は高く、特に給与直後は殆どシロクローバのみを採食した。しかしその後飽食を待たずしてシロクローバとオーチャードグラスを交互に採食するようになる。したがってこの採食抑制はシロクローバの含有成分が関係するものと考えられた。 3.シロクローバ単一とシロクローバ+オーチャードグラス給与緬羊のルーメン液の起泡性は前者で著しく高かったがpHや伝導度では両者に差は生じなかった。オーチャードグラスとの同時給与でシロクローバによるルーメン液の起泡性の増大は著しく抑制された。 4.給与シロクローバではサポニンが存在するが、ルーメン液では検出されずサポゲニンと思われるバンドが検出された。ルーメンに取り込まれたサポニンは、ルーメンバクテリアにより急速に糖鎖が切断されることが確認された。 5.シロクローバ・エコタイプ判定では、パーオキシダーゼのアイソザイム変異が用いられたが、その他エステラーゼについても変異が確認された。 6.島根県隠岐島の放牧自然草地に由来の明確でないシロクローバが自生するとの情報を得、本年の予定以外であったが採集を行った。
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