研究概要 |
本年度は最終年にあたるので,データの整理に重点をおいたが,これまでの計画で実施出来ていなかった,シロクローバ栽培環境とサポニンの生成についての実験を行った.環境条件としては,特にイネ科草との混生栽培で生ずる光環境と土壌窒素環境に焦点をしぼった. 1.圃場栽培のシロクローバ(フィア)の1株より増殖したものの5個体ずつを1/5000aワグネルポットに植え,窒素3段階(N:0,0.13,0.39g/pot)と庇陰3段階(相対照度:100,60,40%)の処理で栽培し,植物の生育,窒素固定活性,サポニンの生成を調べた. 2.地上部の積算再生量は,庇陰度が高まるにつれて大きくなる傾向を示す,が施肥窒素量とは何れの庇陰度においても特定の関係は見られなかった.地上部重・根重は共に庇陰度が増すにつれて減少するが,施肥窒素とについては,地上部積算再生量とほぼ同様な関係を示した. 3.窒素固定活性は無比陰のN:0区が最も高く,窒素の施用や庇陰処理により著しく低下した. 4.シロクローバ地上部の70%エタノール抽出画分よりTLCクロマトグラフィーで8つの配糖体が検出された.そのうちバンド(1)〜(4)はサポニン,(6)〜(8)はサポゲニン等のサポニン様物質,(5)は不明とみなされた. 5.TLCバンドを窒素施肥レベル間で比較すると,N:0区はバンド(3)および(4)が他にくらべ含有率が高かった.庇陰処理間で見ると,相対照度:100%区でバンド(1)(4)(6)が他処理区にくらべ高かった. 6.TLCの各バンドはHPLCの分析に共され,同様な結果が確認された. 7.阿蘇草原よりシロクローバの採集を行い,今後の研究に共することとした.
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