研究概要 |
LHのパルス状分泌は下垂体門脈血中に放出されるLH放出ホルモン(LHRH)のパルスに1対1に対応しており,そのパルスを発生させる機構としてLHRH pulse generatorの存在が考えられている.本研究はLHRH pulse generatorの脳内における局在を明らかにすることを目的とした. (1)LHRH pulse generatorがLHRHニューロンの細胞体に存在するという可能性を否定するため,視索前野をリージョンジェネレーターで大きく破壊した卵巣除去動物から採血し,LHRHパルスの有無を見た.その結果,視索前野を破壊した卵巣除去ラットでは6分間隔,3時間の採血により,明瞭なLHパルスが観察された.このパルスの頻度,振幅は対照群と有意な差はなかった.また,視索前野を破壊したラットから取り出されてきた視床下部組織片からのin vitroにおけるLHRHのパルス状放出も対照群と変わりなくおこっていた.これらの結果はLHRHニューロンの細胞体の集中している視索前野がLHRH pulse generatorの一部ではないことを示している.すなわち,LHRHの細胞体がパルス発生の本体ではないことを強く示唆している. (3)PGの本体があると予想される弓状核だけをリージョンジェネレーターで破壊しても,LH分泌にはなんら影響はなかった.このことは弓状核はLHパルスの発生には関与していないことを示す.
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