現在、生体内の物質を測定する方法としてはその物質の抗体を用いる免疫測定法が確立しており、アイソトープを利用して行う放射性免疫測定法(ラジオイムノアッセイ、RIA)と酵素を利用して行う非RI系の酵素免疫測定法(エンザイムイムノアッセイ、EIA)の2つに分けられる。一般には感度が優れているRIAが好まれているが、RIの取り扱いに習熟する必要があり、また施設の面でも制限があるなどの欠点もある。EIAは通常の実験室で行え、また初心者においても比較的簡単に行えるなど有利な点がある。最近、マウスプロラクチン(mPRL)に関する研究を行ってきた中で、そのcDNAを用いて組換えmPRLの大腸菌における大量生産に成功した。そこで、この組換えmPRLを用いて抗体を作り、RI取り扱い施設のない我々の研究機関において十分な感度を持ったmPRLのEIAを確立することが有益であると考え、本研究を行なった。 1)組換えmPRLを1回1mg、フロインドアジュバントにてエマルジョンを作製し、ウサギの皮下に投与し、以後2週間おきに追加免疫し抗血清を作成した。2)得られた抗血清より硫安塩折法およびイオン交換クロマトグラフィーによりIgG分画を回収し、得られたIgGにさらにペルオキシダーゼ(HRP)を標識した。3)EIAは固相法によるサンドイッチ法により行った。96穴EIA用プレートに抗体を吸着させ、次に標準抗原又はマウス血清、HRP標識抗体の順に反応させ、o‐フェニレンジアミン(OPD)による発色をEIAプレートリーダー(BioRad)にて492nmにおける吸光度を測定した。 検討したすべての実験において組換えmPRL炭体は生体内のプロラクチンとよく反応し、感度、再現性とも良好な結果が得られ、本抗体を用いたEIAは実用に供せられると考えられた。
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