研究概要 |
平成4年度は、ウシ初乳からアフィニティークロマトグラフィー法によるSephadex吸着性成分の大量調製法の開発および特異的吸着成分の同定と活性部位の特定研究を行なった。また、同成分のハプテン糖の検索を行い、糖質認識性を検討した。 (1) ウシ初乳よりSephadex G-100によるアフィニティークロマトグラフィーの一連の過程をより短縮し、免疫修飾成分の迅速な大量調製法を開発した。この特異的吸着成分の精製および同定は、HPLCおよび免疫学的分析により検討し、IgG1成分(以下本成分と略記)であることを確認した。 (2) 本成分をSephadex G-100に再結合させた担体カラムを作成し、ハプテン糖溶出試験を実施した結果、アルドヘキソースのC-2位の水酸基の配向性をとくに強く認識する「グルコース認識性レクチン様成分」であることが判明した。来年度のリンパ球上での糖質結合能を推定する基礎データを得ることができた。 (3) 本研究室で用いているC57BL/6マウスのひ臓リンパ球をナイロンウールカラム法で分画した。本成分の分画リンパ球に対する幼若化活性を測定しすることで、本成分の標的リンパ球を推定した。その結果、活性化細胞集団は、B細胞と特定され、本成分はConcanavalin A(Con A,T細胞マイトジェン)と同様の調製方法により得られたにもかかわらず、TマイトジェンではなくBマイトジェンであったことは、重要かつ興味ある新知見と考えられた。 (4) 本成分をパパイン消化し得られたF_<ab>およびF_cフラグメントを用いて、幼若化活性とSephadexゲルへの結合能の変化を検討した。その結果、パパイン消化によりマイトジェン活性は消失したが、F_<ab>領域には糖質認識性が維持されているという興味ある新知見が得られた。
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