本研究では、先ず、市販のエアコン等を利用して環境調節室を二室製作し、次いでこれによってブロイラーを飼育し、環境温度による血中ホルモンと筋肉蛋白質の代謝回転速度等の変化を調べた。 自作した環境調節室は首尾よく機能し、15℃から35℃までの範囲で正確に温度調節可能であった。湿度も60±10%に制御可能であった。 この環境調節室を用いて、いずれも強制給餌により飼料給与量を一定にして、4回の実験を行った。 実験Iでは、増体量、飼料効率、筋肉蛋白質の合成・分解速度に対する高温(34℃)ならびに低温(19℃)の影響を調べた。その結果、増体量は低温により減少したが、高温ではむしろ増加傾向を示した。飼料要求率は低温で増加し、高温で低下する傾向を示した。筋肉蛋白質の合成・分解速度はいずれも低温で増加し、高温で減少傾向を示した。 実験IIでは、甲状腺ホルモンに的をしぼり、暑熱とブロイラーの筋肉蛋白質の合成・分解速度との関係を調べた。その結果、暑熱により甲状腺機能が低下し、筋肉蛋白質の合成・分解速度が共に著しく低下することが分かった。 実験IIIおよびIVでは、それぞれ環境温度を25℃、28℃、31℃ならびに25℃、22℃、19℃として、筋肉蛋白質の合成・分解速度、血中サイロキシン濃度および血中コルチコステロン濃度に対する影響を調べた。その結果、筋肉蛋白質の合成および分解速度はいずれも低温で増加、高温で減少したが、本実験では有意差を示すことはできなかった。血中サイロキシンは、予想どうり、高温で低下、低温で増加した。血中コルチコステロンも高温で低下、低温で有意に増加した。
|