研究概要 |
平成4年度において、3カ月齢未満のホルスタイン種雄子牛にトウモロコシ(C)75.6%、大豆粕(SBM)12.6%から成る基礎飼料(CP 13%)を給与してL-Lys・HCl 0.333 g+DL-Met 0.111g/kg 体重/dを食道溝経由で投与するとN出納が有意に改善されたことから、本年度の試験1では6頭に同じ基礎飼料を給与し、2X2ラテン方格法によりLys単独(0.333 g/kg/d)を同様に投与したがN出納は改善されなかった。一方、試験2では9頭を供試しての3X3ラテン方格法によりMet 0.111g、またはMet 0.022+G1n0.043g、またはG1n 0.053 g/kg/dの投与効果を比較した。その結果、Met 0.022gは無効であったが0.111gでは有意に改善されたことから、Metが第一制限であることが証明された。次に、試験3では3カ月齢以後の子牛6頭を供試し、3X3ラテン方格法により(A)Cと稲ワラから成る低CP飼料をCP摂取日量2.1g/kgの条件で給与した場合、(B)飼料Aに尿素を添加した場合(CP3.2g/kg/d)、(C)尿素の等N量のカゼインを食道溝経由で投与した場合のN出納と尿中プリン誘導体(PD)を比較した。同様に試験4では(D)C,SBM,稲ワラから成る飼料をCP摂取日量2.8g/kgの条件で給与した場合、(E)飼料Bに尿素を添加した場合(CP3.7g/kg/d),(F)尿素と等N量のカゼインを食道溝経由投与した場合について比較した。その結果、吸収Nの利用効率はCP摂取日量2.8-3.2g/kgの間で最大となり、CP摂取日量の低下が2.8g/kgまでは再循環N量の増加によって微生物態蛋白質合成量が比較的高水準に維持されること、したがって3カ月齢以上の子牛で制限アミノ酸を検出するにはCP摂取日量をそれ以下にする必要があることが示唆された。しかし3カ月齢以上の子牛にC82.8%,SBM5.4%の基礎飼料をCP2.7g/kg/dの水準で給与した試験5でも、C86.4%,SBM1.8%の基礎飼料をCP2.3g/kg/dの水準で給与した試験6でも,Met+lysの食道溝経由投与はN出納を改善しなかった。
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