鶏ロイコチトゾーン原虫の第二代メロゾイトの感染した赤血球をin vitro培養し、生殖母体形成機構の一端を解析した。平成4年度では培地と気相の種類、正常人赤血球の添加、血清の種類と濃度、感染に用いる鶏の年齢、感染量の多少の影響および培養に用いる感染赤血球の感染後の日数などについて検討した。結果として、熱帯熱マラリア原虫の培養に用いられている改良型RPMI1640培地に、ウマ血清と正常人赤血球を添加して、第二代メロゾイトの感染した感染後15日目の感染赤血球を培養すると、成熟型の生殖母体にまで発育させることができた。しかし、その数はin vivoの成績よりも少なかった。平成5年度では培地へのビタミン類の追加、塩類やNaClの濃度、ヘパリンの添加、及び培養した熱帯熱マラリア原虫では生殖母体誘発効果のあるハイブリドーマ上精液(HybS)と抗原虫薬のBerenilの添加について検討した。結果として、培地の塩濃度はまたはNaCl濃度を1.1〜1.2倍に濃くしたり、ヘパリンを10u/ml添加することによって、より発育した生殖母体の割合が増加した。HybS液とBerenilは生殖母体誘発効果を示さなかった。平成6年度では感染鶏から人為的に放血し、未熟型の赤血球を増加させて、その後の未熟型の赤血球に侵入した第二代メロゾイトの成熟型の生殖母体への発育状況をin vivoとin vitro培養で比較検討した。感染鶏から血液を放血した群では未処置群よりも未熟型の赤血球数がより多く増加し、未熟型の赤血球に侵入した第二代メロゾイト数も増加した。これによって、in vivoでの成熟型の生殖母体の出現率の増加とin vitro培養での発育した生殖母体の割合の増加をもたらした。しかしながら、未熟型の赤血球へ侵入した原虫数と成熟型の生殖母体数との関係を見ると、第二代メロゾイトの未熟型の赤血球への侵入は必要十分条件ではないと考えられた。
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