研究概要 |
ラットの造血巣は個体発生学的に卵黄嚢→胎仔肝→(胎仔脾)→骨髄へと移動する.本研究は造血巣が胎齢の早期,特に11日以前にはどこにその主場がみとめられるか,またその造血を支持する組織・細胞が何であるかを明らかにすることを目的としている. 現在までは主に免疫組織学的手技を用いた解析結果までしか明らかに出来ていない.胎齢11日の卵黄嚢にはUB-12陽性細胞が認められたが,既報のOX-7,W3/13陽性細胞が存在するかどうかまでの断定には至っていない.一方,胎齢14〜16日の胎盤にはUB-12陽性細胞の存在が認められたが,それは栄養膜細胞の可能性があり,UB-12抗原が造血系細胞以外の細胞にも発現されていることが示唆された.現在胎齢8〜10日ラットの胎盤からの造血支持細胞株の確立を単純組織培養,遊離細胞培養,放射線抵抗性細胞培養などの方法を用い行っている.またUB-12抗原の分子量同定・精製も試みており,これが成功すれば組織分布を定量できることが示唆される.まずこの予備実験として,マウスでは血液幹細胞表面に主要組織適合性抗原(MHC)Class I が発現されているという報告があり,我々も既に作製し,抗原分子量も決定済みのラットMHC Class I 抗原に対する単クローン性抗体HAM-2を用い,組織におけるラットMHC Class I 抗原の定量を試行している.それには平成4年度科学研究費補助金により購入したELISAマイクロプレートリーダー(BIO‐RAD・モデル450)は非常に有用で現在ルーチンに稼動している.また消耗品代としての研究補助金は培養関係(牛胎仔血清,培養液,培養プレート等),動物関係(動物代,飼料代),試薬類(抗体等)等に使用した.
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