研究課題/領域番号 |
04670025
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
中島 裕司 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80207795)
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研究分担者 |
山岸 敏之 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60255122)
比留間 民子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (70118644)
山崎 芳仁 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60200672)
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キーワード | 大血管転位 / レチノイン酸 / マウス胚 / 心筋細胞 / 筋小胞体 / ニワトリ胚 / 形質転換成長因子 |
研究概要 |
1.完全大血管転位症では、右心室から大動脈、左心室から肺動脈が起始する先天性心奇形である。この心奇形の形態形成過程は不明であった。われわれは妊娠マウスにレチノイン酸を投与し、90%胎仔に本奇形を発症させることに成功した。このモデルを用いて、各発生段階の心臓内腔の鋳型標本を作製し、その形態形成過程を走査電子顕微鏡で観察した。完全大血管転位症では、胚心臓流出路近位部に形成される心球提の低形成が原因で原始右心室から大動脈への血流路が残存することがわかった。 2.心筋細胞の興奮-収縮連関には筋小胞体がカルシウムの貯蓄・放出することによって関与していることが知られている。ニワトリ胚心筋細胞において筋小胞体が形成される過程を形態学的に調べ、生理機能の発達との関係を調べた。OsFeCN固定法を用いて透過電顕で観察したところ、心臓の拍動開始後まもない孵卵1.5日のニワトリ胚において筋原線維に接している細管状の筋小胞体が初めて観察された。孵卵2日以降の胚では、筋原線維のZ線を取り巻いていると思われる筋小胞体の断面がしばしば観察されるようになり、また筋原線維間を縦に走るものや細胞膜に接しているものも見られた。孵卵12日には孵化後の雛に見られるような細かい網目状の筋小胞体が観察された。また、カルシウム濃度測定装置を用いた実験により、筋小胞体にあるといわれるリアノジン受容体が存在すると考えられる生理的反応が孵卵3日以降の胚で認められた。 3.ニワトリ胚の発生過程における形質転換成長因子(TGF)β3の役割を推測するため、in situ hybridization法を用い、そのmRNAの局在を検索した。その結果、TGFβ3mRNAはH-H stage14からstage23においては心筋・血管に局在するが、stage26では消失していくことが明らかになった。
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