| 研究概要 |
1.中心頸核から小脳核への投射.脊髄小脳路系のうち,中心頸核起源の脊髄小脳路線維の小脳核への投射を明らかにした.Phaseolus vulgaris leucoagglutinin(PHA-L)を頸髄上部(C2,C3)に注入し,小脳核において順行性に標識された神経終末の分布を調べた.中心頸核小脳路線維は,小脳核のうち内側核,前中位核と後中位核において明瞭な終末線維を分枝し,神経終末をもって結合していることが確定された.次のような神経終末の分布の局在が認められた.神経終末は,内側核では内側部,腹側部,腹外側部,中位核との境界部に分布し,前中位核の吻側部では内側部から外側部に,前中位核の尾側部では内側部に分布し,後中位核では内側部と腹側部に分布した.また,頸髄上部に choleragenoid(CTB)を注入し,同一切片上で逆行性に標識された小脳核脊髄投射ニューロンと順行性に標識された中心頸核小脳路線維終末の分布を調べた。標識ニューロンのうち終末を受けるものも見られたが,両者の分布の間には明瞭な対応関係は見られなかった.
2.腰髄から小脳核への投射.腰髄にCTBまたはPHA-Lを注入し,小脳核への投射を調べた.その結果,内側核の内側部と腹側部,前中位核の内側部,後中位核の内側部また服内側部に投射することが明かとなった.
3.中心頸核への脊髄固有束線維の入力.
中心頸核が胸髄からの固有束線維の入力を受けることがPHA-Lの順行性標識法により明かにされた.そこで,WGA-HRPの逆行性標識法により,この固有束線維の起始ニューロンを同定した.最も主要な入力は同側のVII層と対側のVIII層のニューロンに由来することが示唆された.
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