研究概要 |
1.シナプス関連蛋白の同定と免疫抗体作製。 神経伝達に関連するシナプス関連蛋白を同定し,その機能を探るため種々のシナプス下分画を抗原としてモノクローン抗体を作製,または入手し,これら蛋白の細胞下局在や,発生時における発現の様態を検索中である。次のものについては既に抗体を作製または入手している。 a.シナプス小胞膜蛋白(シナプトファイシン,シナプトタグミン,シンタクシン),b.シナプス後部濃物質(82K蛋白),C.シナプス結合部蛋白,d.Na^+-K ATPase。この内,aについては小脳皮質における細胞内,在,発生に伴う発現の様態について bについてはシナプトソーム分画における細胞下局在を検索,その結果を報告した(Kadota et al.,1992)。 2.高頻度刺激後における哺乳類シナプの迅速な回復現象。 in vivoの哺乳類Cholinergicシナプスにおいて,非常に高頻度(30-100Hz)の連続刺激を与えた場合,神経伝達は急速に減蓑,消失する。刺激終了後,これをin vivo(正常血行下)で休息させてやると,シナプスの形態(とくにシナプス小胞数),機能(神経伝達)とも,約1分で迅速に正常状態に回復することを見出した(Kadota et al.,in press)。 回復の際の細胞骨格の関与やその分布の変化,Ca^<2+>の影響などについては現在検索中である。また刺激時における膜回収機構を微細形態的,免疫電顕的に検索し,シナプス小胞膜の再循環と終末からの膜の逆行性搬出を担う構造物やその経路についての成績をまとめた(Kadota et al.,投稿中)。 3.PC-12細胞におけるシナプス関連蛋白の発現 PC-12細胞の突起伸長時における各種シナプス関連蛋白の発現を検索中。
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