細胞外Ca^<2+>除去液中で脱分極により誘発される一過性外向き電流の一過性成分は、電気生理学的及び薬理学的性質からA類似Kチャネルの活性化によることが考えられた。しかし、L型Caチャネルを通るK^+の外向き電流の可能性も考慮する必要性がある。そこで、cell-attached patchを用いて単一チャネル記録を試みた。パッチ電極にCa欠除細胞外液を充填して、電極の電位を0mVから-130mVまで変えたが、単一チャネルの事象は観察することが出来なかった。このことは、単一チャネルコンダクタンスは非常に小さいことを示唆する。そこで、現在集合雑音解析法を用いて単一チャネルコンダクタンス測定を試みている。この目的のため低域通過フイルタを購入した。次に、beta受容体刺激の効果を検討した。Ca電流は保持電位-50mVから0mVへ150msのテストパルスを与えて誘発した。パルス中に不活性化されるCa電流値は、beta受容体刺激により288±26%に増加した。一方、Ca除去下でパルス中に不活性化される外向き電流の一過性成分は、+60mVでbeta受容体刺激前の値の75±19%であった。このことは、Ca除去下の一過性の外向き電流はCaチャネルを通るK^+の外向き電流でないことを強く示唆する。次に、一過性外向き電流のプラトー成分のイオン機構について検討した。この成分も細胞内のK^+をTEAに置換すると、一過性成分とともに全く消失したが、外液の一価陽イオンをTEAに置換しても、ほとんど影響を受けなかった。又、Cd^<2+>により一過性成分と同様に抑制された。心筋培養については、Bern大学のWeingart博士との協同研究によって開始した。ようやくラット心筋培養に習熟したところである。これから難しいモルモット心筋培養に取り掛かろうとしている。
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