1.拘束ストレスによる摂食行動の抑制 (1)拘束ストレスによって摂食量の有意な低下が起こる。これはセロトニン受容体拮抗薬のmethysergideおよびセロトニン1Aレセプターの特異的アゴニストである8OH-DPATの前投与で有意に拮抗された。 (2)抗不安作用を有するdiazepam(DZP)の投与は短潜時で摂食行動を誘起するが、これはDZPのpartial inverse agonistであり、不安惹起作用を有するFG7142の投与で有意に拮抗できた。 2.視床下部セロトニンおよび内側前頭前野ノルアドレナリン(NA)の動態 (1)拘束ストレス後視床下部外側野でセロトニンの遊離が有意に増加し、これはDZPあるいは8OH-DPATの前投与により完全に阻害できた。内側前頭前野でのNAの遊離も拘束ストレスによって有意に増大するが、これはbenzodiazepine系、CRF系によって修飾されている可能性がある。 (2)拘束ストレスによる内側前頭前野のNA遊離はCRFの特異的拮抗薬であるα-herical CRFを大脳側脳室内へ前投与すると有意に拮抗できる。またCRFの側脳室内投与により短潜時で内側前頭前野のNA遊離が促進される。 3.脾臓交感神経終末からのNA遊離 拘束ストレスは脾臓交感神経からのNA遊離を有意に促進することをマイクロダイアリシス法で明らかにした。これは脾臓を支配する交感神経の切除によって有意に抑えられた。さらに拘束ストレスを負荷したときに免疫反応(NK活性)が低下し、これも除神経により有意に拮抗されることなどから、脾臓交感神経終末から放出されたノルアドレナリンがNK活性を抑制すると考えられる。
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