研究概要 |
黄体形成ホルモン(LH)の基礎分泌に関わる黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)ニューロンはLHの相動性(排卵性サージ)分泌に関わるLHRHニューロンとは異なるサブタイプである可能性について実験を行い、以下のような成果を得た。 1.卵巣摘除ラットで、パルス状LH分泌に相関して突発上昇する多ニューロン発射活動(ΜUA)を示すLHRHニューロンは、エストロゲンの正フィードバック作用による相動性LH分泌に相関する活動上昇を示さない。 2.性周期回帰ラットで、発情前期午後(13:45時)にpentobarbital sodium(PB,31.5mg/Kg,ip)投与を行うと相動性LH分泌が阻止されるが、低レベルのパルス状LH分泌が残存する。PB下でオピオイド受容体阻害剤、naloxone(NAL,2mg/h,iv)を持続注入するとパルス状LH分泌が増強した。 3.卵巣摘除ラットでパルス状LH分泌に相関して突発上昇するΜUAを示すLHRHニューロンは、PB下でもその活動を維持する。 以上の結果は、(1)LHRHサージジェネレーターは、その神経回路にLHRHパルスジェネレーターとは異なるLHRHニューロンを含む、(2)LHRHサージジェネレーターの活動はPBにより阻止されるが、LHRHパルスジェネレーターの活動はPBの作用から独立している、(3)LHRHサージジェネレーターの活動はNALにより増強しないが、LHRHパルスジェネレーターはNALにより増強する、ということを示している。従って、脳内LHRHニューロンが機能的二型性をもつことが示唆される。
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