研究課題/領域番号 |
04670097
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
高瀬 幸子 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 教授 (10046196)
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研究分担者 |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部・栄養学科, 助手 (70195923)
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キーワード | 細胞性レチノール結合たん白質タイプII / mRNA / レチノイドXレセプター / 小腸絨毛 / レシチン-レチノールアシル転移酵素 / 脂質 |
研究概要 |
小腸吸収細胞に局在する細胞性レチノール結合タンパク質typeII(CRBPII)は、レチノールとレチナ-ルを特異的に結合し、小腸でのレチノールのエステル化を促進し、ビタミンAの吸収機構に関与することを、これまでに明らかにした。本年度は、CRBP(II)の遺伝子の小腸絨毛分布と、その遺伝子発現の調節機序の解明を目的とした。 1.CRBP(II)およびレチノイドxレセプター(RXRα)のmRNAの小腸絨毛内分布の解明:ラット空腸組織の絨毛をクリオスタットを用いて連続凍結切片に分画し、各画分から総RNAを抽出し、CRBP(II)とRXRαのmRNAを定量した。同じ空腸組織の細胞質にあるCRBP(II)をELISAにより測定した。crypt部と絨毛基部の境界領域の細胞でRXRαとCRBP(II)mRNAの発現が起こっており、小腸吸収細胞の成熟過程でCRBP(II)タンパク質が誘起されると推察された。 2.レシチン:レチノールアシル転移酵素(L-RAT)の小腸絨毛内分布の解明:ラット及びニワトリ雛の小腸組織の絨毛をクリオスタットを用いて連続凍結切片に分画し、各画分のL-RAT活性を測定した。crypt部でL-RAT活性は低いが、絨毛の先端に向かってその活性は上昇し、絨毛中央部で最も高い活性を示した。絨毛上のその分布パターンはCRBP(II)タンパク質の分布パターンと一致した。その分布に種の差はみられなかった。 3.ラット空腸のCRBP(II)およびRXRαのmRNA発現とCRBP(II)タンパク質誘導に及ぼす食餌脂質の影響:低脂肪食群を対照に、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸からなる2種類の高脂肪食でラットを7日間飼育し、空腸CRBP(II)のmRNAとそのタンパク質量を測定した。RXRαのmRNA発現量を調べた。長鎖不飽和脂肪酸を主組成とする高脂肪食の摂取は、特異的にラット空腸のCRBP(II)とRXRαのmRNA発現量を増加させた。脂肪吸収が上昇する際に脂肪酸結合タンパク質(FABP)の遺伝子発現とCRBP(II)の遺伝子発現が何らかのinteractionをもつ可能性が示唆された。
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