本研究は、オピオイドの情報伝達機構の解析過程において偶然発見したユニークな現象から得られた着想に基づくものである。すなわち、オピオイドレセプターの再構成実験において、同レセプターは、モルモット小脳においてG一蛋白活性を仰制するとともに、ホスホリパーゼC活性をも仰制する機構と連関していることが明らかになった。本研究の目的は、この知見を利用し、以下の様な新しい方法論をもって、このレセプターをクローニングすることであった。本研究者がとった方法は、すでにクローニングされた代謝性のグルタミン酸レセプタークローンmG1uR1からのmRNAとモルモット小脳cDNAライブラリーからのmRNAとを併用して卵母細胞に注入し、両蛋白を発現させ、グルタミン酸刺激による応答を遮断するk-レセプターをコードするmRNAをスクリーニングし、cDNAクローニングを行った。現在有力なクローンを得ることに成功し、構造解析を急いでいるところである。
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