1.卵母細胞での機能発現アッセイの改良 cDNAよりin vitroで合成したcRNAが卵母細胞に対して毒であり、機能アッセイの障害になっていた。そこで、合成したcRNAをRNaidを用いて精製することにより毒性を除去することに成功した。 2.ストレス誘導クローンの選別 前年度に作成したcDNAライブラリー(λZAPII)は、(1)総mRNAを庶糖密度匂配で分画し、活性発現の見られる1.5〜3kbのRNA画分を利用して、さらに、(2)方向性を持ってcDNAが入っている。このcDNAライブラリーを利用して、+/-法を用いて、ジエチルマレイン酸刺激で誘導されるクローンを約200選別した。それらのなかには、ストレス誘導タンパク質とて知られているヘムオキシゲナーゼをコードするクローン(約1.6kb)が多数含まれていた。このことは、選別方法がうまくいっていることを示している。相互ハイブリにより他に少なくとも4種類のクローンが多数重複していることがわかった。それらについてDNA配列の解析を行っている。約200クローンのファージDNAから作成したcRNAを卵母細胞へ注入したところ、わずかにシスチンの取り込み活性が発現したが再現性がなく、シスチンキャリアーのcDNAは残念ながら含まれていないと思われた。そこで、再度クローンを選別する作業を実行中である。 3.新しい23kDaストレス誘導タンパク質のクローニング ジエチルマレイン酸で誘導がかかるcDNAのなかで最もクローンの多かったのが23kDaのタンパク質をコードするクローンであった。本タンパク質は、サルモネラ菌でH_2O_2で誘導されるアルキルハイドロパーオキサイドレダクテースのC22成分のアミノ酸配列と高いホモロジーを持っていることが明らかになった。
|