マメ科のレクチンは、その一次構造解析及びコンピューターグラフィクスによる立体構造の推定を通じ、その立体構造はほとんど同一であると予想された。これら一連のレクチンは、2つのループによって糖鎖をはさみ込むような構造をしている。我々は、既にBPAレクチンをコードするcDNAを単離した。このcDNAを鋳型に用い、PCR法によってキメラレクチンをコードする遺伝子を作製した。ガラクトース結合性BPAレクチンの9個のアミノ酸から成る糖結合部位の一部分であるループを、マンノース結合性LCAレクチンの相同の部位と置換したレクチンを大腸菌により発現させた。このキメラレクチンは、わずか9アミノ酸のみがLCAと入れ換わったものであるが、その特異性はガラストース特異的なものからマンノース特異的なものへと変化していた。また、このキメラレクチンを固定化したアフィニティカラムを用い、オリゴ糖レベルでの詳細な糖結合特異性を調べた。その結果、BPA、LCAいずれとも異なり、高マンノース型、混成型Asn結合型糖鎖に存在するαマンノース残基3残基から成る構造が、強い親和性を持つのに必須であることがわかった。このことは、このBPAの置換したループが、単糖レベルでの糖との結合に最も深くかかわっている大切な部分である一方、その糖結合ポケットの外側を構成しているいくつかのアミノ酸が、その詳細な特異性を規定しており、オリゴ糖のような大きな分子との結合の場合にはさらにその相互作用を安定化していることが考えられた。
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