リボソームRNAは系統的に大変良く保存されており、タンパク質合成において中心的役割を演じていることが示されている。1991年に我々は動物リボソームの活性を抑制する抗RNA抗体(抗28S)をSLE患者の血清より発見した。1992年から3年間にわたる本研究では、抗28S抗体が認識するRNA部位の構造と機能の解析が中心になされ、rRNAのGTP水解反応に関わる実体を明らかにした。また、本抗体のエピトープの解析および膠原病患者における出現頻度も合わせて検討し、以下のような新たな知見が得られた。 (1)抗28S抗体はGTPアーゼドメインと呼ばれる機能ドメインに特異的に結合する。その際、G・1959を含む4塩基が抗体との結合に関与し、これらの塩基がエピトープを形成することが示唆された。 (2)GTPアーゼドメインにはリボソームタンパク質L12、P1、P2、P0が結合しRNAの高次構造に影響を与える。 (3)抗28Sは真核生物リボソームに特異的であるが、大腸菌のGTPアーゼドメイン中のA・1067(ヒトG・1959と等価の位置)をGに置換するだけで抗28S抗体と大腸菌リボソームとの強い結合性が生じ、この位置の塩基Gが抗体の認識に重要であることが示された。 (4)ペプチド鎖伸長因子EF・2は抗体の結合部位でもあるG・1959と相互作用することが判明し、抗28Sがその相互作用を直接阻害することが明らかになった。 (5)17%のSLE患者に抗28Sタイプの抗体活性が検出されるが、他の膠原病患者からは検出されない。また、本抗体はリボソームタンパク質L12、P1、P2、P0に対する自己抗体の出現と強く相関し、RNAドメインへの自己免疫応答にこのRNA・タンパク質複合体構造が関係することが示唆された。
|