マウスのRBP-Jk蛋白質がVDJ‐組換え酵素であるかを調べるため、VDJ‐組換えシグナルの各種ミュータントの精製RBP‐Jk蛋白質との結合の強さを測定し、それぞれのミュータント配列の組換え活性の強さと比較した。ヘプタマー部位に変異を持つミュータントにおいては、RBP-Jkに対する結合力に対する結合力と組換え頻度の間に相関が認められた。しかし、スペーサーの長さを変えたミュータントは、組換え頻度は殆どゼロであるにもかかわらずすべてRBP‐Jkに強く結合した。ヘプタマーの外側にあるBamHI酵素部位(GGATCC)の左側3塩基に変異を導入すると、結合力は強く低下した。以上の結果は、RBP‐Jk蛋白質はヘプタマーの配列(CACTGTG)に加えてその外側の数塩基対を認識していることを示している。この結果は、RBP‐Jk蛋白質の認識配列がVDJ‐組換えのシグナル配列とは異なっていることを示している。 RBP‐Jk蛋白質が認識するコンセンサス配列を明らかにするため、中央部分にランダムな20塩基対の配列を持ち、その両外側にPCRによる増幅のための決まった配列を持つオリゴマ核酸を合成した。このオリゴマーを精製RBP‐Jk蛋白質と反応させた後、RBP‐Jkに結合したオリゴマーをゲルシフトアッセイで分離した。分離したオリゴマーをPCRで増幅した後さらにRBP‐Jkと反応させ、蛋白質に結合したオリゴマーを分離した。このステップを繰り返し、RBP‐Jkに強く結合するオリゴマーを得て、その塩基配列を調べた。この結果、RBP‐Jk蛋白質はCGTGGGAAをコアとする塩基配列を認識していることが明らかになった。
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