ゴシポール受容体タンパク質の同定およびその部分精製を平成4年度より継続して行った。部分精製にゴシポロン・アフィニティーカラムを用い、SDS-PAGAによる分析の結果少なくとも3種類のタンパク質が関与していることをみつけた。これらタンパク質の精製には大量の精子が必要で、その為に時間がかかっているが、精製と平行してタンパク質の性質も調べた。 脳内にて重要な役割をしている神経伝達物質GABAはグルタミン酸デカルボキシラーゼによりアミノ酸であるグルタミン酸より合成される。近年、グルタミン酸デカルボキシラーゼの存在が精子に確認され、この酵素およびGABAの生理的役割が注目され始めている。我々はグルタミン酸デカルボキシラーゼに対するモノクローナル抗体が上述のゴシポール受容体タンパク質を認識することを見つけた。この生理的意義は不明であるが、GABAの受精における役割が強く示唆される。 ゴシポールの活性中心を同定する目的でゴシポールの構造類似化合物および化学誘導体の合成を行い、これら化合物の精子運動、精子呼吸能、そして精子の受精効率に及ぼす効果を検討した。この結果より、アルデヒド基はすべてのゴシポール活性に必要であること、また、抗精子運動には酸化産物であるゴシポロンの関与があり、そのためにはナフタレン環のキノンへの変換が必要であることを見つけた。
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