研究課題/領域番号 |
04670159
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
箸本 英吉 福井医科大学, 医学部, 助教授 (20116239)
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研究分担者 |
田中 幸枝 福井医科大学, 医学部, 教務職員 (10197486)
山村 博平 福井医科大学, 医学部, 教授 (90030882)
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キーワード | 細胞周期 / 卵成熟 / 蛋白質燐酸化反応 / 蛋白質燐酸化酵素 / プロテインキナーゼC / カゼインキナーゼII / プロゲステロン / 蛋白質分解反応 |
研究概要 |
プロテインキナーゼC(Cキナーゼ)は外来刺激に呼応した多彩な細胞の応答反応に関与しているが細胞周期の調節や細胞増殖とも関係の深い酵素である。例えばアフリカツメガエル卵母細胞の成熟はプロゲステロンのみならず発癌プロモーターホルボールエステルによっても誘発されることからCキナーゼによる蛋白質燐酸化反応がこの過程で重要な役割を演じていることが予想される。そこで私共が卵母細胞の細胞質に見い出した本酵素の基質である分子量25,000の蛋白質(25kDa蛋白質)の構造と機能の解析を進めるためまずこの蛋白質の単離精製を試みた。種々のクロマトグラフィーを組み合わせほぼ純品を得ることができた。また25KDa蛋白質は熱安定性蛋白質であることも判明しホモジネートを熱処理しその上清を利用することにより簡便かつ大量の精製が可能となった。この蛋白質のアミノ末端付近の一次構造を決定しその配列をコンピューターで解析したところこれまで報告の無い蛋白質であることが明らかになった。またこの25KDa蛋白質の制御機構を明らかにするため各種蛋白質燐酸化酵素による燐酸化反応を試みた。Cキナーゼによって25KDa蛋白質1モル当たり2モルの燐酸が取り込まれ燐酸化アミノ酸はセリンと同定された。またこの反応のKm値は0.5μMときわめて低くCキナーゼのよい基質であることが確認された。このように25KDa蛋白質の構造や制御機構についての研究が進み細胞周期の調節において果たす本蛋白質の役割を生理学的な立場から解明する段階に来ている。 また細胞増殖時に認められる細胞核H2AヒストンのN末端セリン残基の燐酸化反応を解析した結果Cキナーゼが有力な候補であることを明らかにした。さらに抗腫瘍性抗生物質ミトキサントロンがCキナーゼの強力な阻害剤であるHL60細胞の増殖を阻害する際この物質の作用点の一つがCキナーゼある可能性を示した。
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