研究課題/領域番号 |
04670167
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小林 圭子 鹿児島大学, 医学部, 講師 (70108869)
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研究分担者 |
荒川 裕之 鹿児島大学, 医学部, 助手 (40212617)
佐伯 武頼 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10056070)
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キーワード | シトルリン血症 / アルギニノコハク酸合成酵素欠損症 / 尿素サイクル酵素異常症 / RFLP解析 / Homozygosity mapping |
研究概要 |
シトルリン血症は、尿素サイクル酵素の1つであるアルギニノコハク酸合成酵素(ASS)の異常に基づく代謝性疾患であり、病因を異にする新生児小児発症型と成人発症型(TypeII)の2つに大別される。本研究の目的は、シトルリン血症におけるASS異常の病因を明らかにし、基礎的・臨床的分野に応用することである。 新生児小児型シトルリン血症のASS欠損は、全身性に見られるものであり、その異常はASS遺伝子上に存在する。すでに14症例の解析を行い、14種類の変異を明らかにしている。mRNA抽出→cDNA合成→PCR増幅→M13クローニング→塩基配列決定という手法に従って、さらに別の症例の解析を行っている段階である。個々の症例について変異部位が同定できれば、希望する家族に対する出生前診断は可能である。変異を確認する発現系としてサル腎臓由来のBMT-10細胞システム以外に、操作が簡単なpETベクターを使用した方法を検討している。すでにpETシステムにより正常ASS蛋白が大量に発現でき、しかも充分に酵素活性を持つことを確認しているので、変異ASSの解析に応用できると考えている。 一方、肝臓特異的ASS欠損を示す成人発症TypeIIシトルリン血症はこれまでに84症例を解析しており、そのうち20症例が血族結婚由来である。もしASS遺伝子上にその異常が存在してTypeIIシトルリン血症が発症しているのであれば、血族結婚由来のAllele-DNAはHomozygosityが存在するはずである。しかし、ASS遺伝子内に存在する多型性マーカーを用いてRFLP解析を行ったところ、血族結婚由来の16症例のうち5症例はヘテロ接合体を示した。しかもそれらヘテロ接合体を示す頻度は対照と同じ30%であった。このことはTypeIIの原因がASS以外の別の遺伝子上に異常があり、その遺伝子の産物が肝臓特異的にASS蛋白低下に関係していることを示唆している。
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