研究概要 |
牛TXA2受容体及びマウスEP3受容体の膜貫通領域部分のDNA配列をもとに牛副腎髄質、牛心臓、牛卵巣黄体などの組織のmRNAを鋳型にしたcDNAを用いてPCRを行った。その結果、TXA2受容体、EP3受容体と同じ配列をもつクローンがそれぞれ牛卵巣黄体、牛副腎髄質から数多く得られ、TXA2受容体、EP3受容体の発現に臓器特異性のあることが判明した。PCR法によりこれら受容体40-50%の相同性を有する未知のクローンがいくつか得られており、現在これらの解析を進めている。一方、鈴木はPGE_2受容体を同定するためにw鎖にアジドフェニール基を導入した光親和性PGE_2誘導体の合成を試みている。 京都大学医学部、薬学部との共同研究で牛副腎髄質から得られたC末端の異なる4種類のEP3受容体を発現させたCHO細胞(102,105,106,112)を用いてCa_<2+>シグナルを調べた。4種類のクローンのうち105細胞ではPGE_2及びEP3受容体アゴニストM&B28767に反応して細胞内Ca_<2+>濃度を強い上昇、102細胞では弱い上昇がみられた。これらの細胞では、弱いながらイノシトールリン脂質代謝を亢進もみられた。牛副腎髄質の[^3H]PGE_2の特異的結合はM&B28767でほぼ完全に抑制されることから、牛副腎髄質におけるPGE_2のイノシトールリン脂質代謝回転はEP3受容体のサブタイプ105を介して行われることが示唆された。さらに、C末端の違いにより異なる情報伝達系とカップルするという興味深い知見が得られたが、これまで全く報告のない新しい知見で、この結果はおそらく異なるG蛋白、エフェクターを介するものと考えられる。
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