研究課題/領域番号 |
04670173
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
増田 高行 東北大学, 医療技術短期大学部, 教授 (00113910)
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研究分担者 |
石井 元康 東北大学, 医学部・第三内科, 助手 (30159678)
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キーワード | ウィルス性肝炎 / 自己免疫 / double negative T cell / T cell receptor / 免疫組織化学法 |
研究概要 |
自己免疫マウスにおいて、肝臓のdouble negative CD4^-8^-T-cellの増加することが共通の現象であることを見いだし報告してきた。ヒト肝臓においてもdouble negative T cellが存在し、ウィルス性肝炎においても自己免疫現象が関与していると推測してきた。ウィルス性肝炎では、spotty necrosisの部分にはウィルスが証明されるのに、グリソン鞘周囲のpiecemeal necrosisの部位ではウィルスは確認されていない。しかし、ここでは多数のTリンパ球が出現し肝細胞を破壊している。前述の動物の結果と合わせpiecemeal necrosis部位には肝細胞に対する異常なT細胞の禁止クローンが重要な役割を果している可能性が示唆された。そこで、ウィルス性肝炎の病巣において特定のTリンパ球が出現しているか否かを検討するために、肝臓の生検材料を用いてVβ遺伝子のモノクロナリティを検討を試みた。生検材料の小さな材料からは十分なmRNAが採取されず、αβTCRスクリーニングパネルの各種モノクローナル抗体群を用いて特定のリンパ球が関与しているかどうか調べた。本抗体はFACS用の抗体であり中々十分な染色性が得られなかった。材料の固定条件を未固定、あるいはPLP固定、電子レンジ固定、各種濃度のパラホルム固定を行ない検討したがいずれも信頼性のある十分な結果は得ることができなかった。免疫染色が必ずしもうまくいってはいないがかなりheterogenousなリンパ球よりなっているようではあった。piecemeal necrosis部に関与しているリンパ球はTリンパ球で、大部分はαβ型を示し、γδ型Tリンパ球は少数であった。肝炎の初期病巣と考えられるspotty necrosis部では比較的γδリンパ球が多いのに比べ対象的にαβ主体であった。炎症が進行して見られるpicemeal necrosis部ではこれらのTリンパ球からサイトカインを分泌しBリンパ球の分化増殖を誘導しこれらも関与しているものと考えられた。
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