研究概要 |
末梢性T細胞性リンパ腫(212例)の臨床病学的.免疫学的特徴を総括し報告した(Cancer 1993;72:1762,Acta Pathol Jpn 1993;43:396)。updated Kiel(Suchi)分類に基づく病理組織学的診断と予後を含む臨床的特徴および免疫学的表現型との間に密接な相関が存在することを明らかにし得たことは今後のT細胞腫瘍の診断.治療の基盤をなすものと評価される。また、研究の課程で新たにDC56(NCAM)陽性T細胞腫瘍が特異な細胞学的および臨床病理学的特性を有することを指摘した(Cancer 1993;71:249)。さらに同腫瘍を11例集積し各種解析を加えた結果、T細胞腫瘍全体の中で特異な高悪性度腫瘍単位を形成する可能性がより明確となり、現在総括中である。T領域腫瘍の中で重要な位置を占めるが、極めて稀と考えられるT細胞領域組織球(樹状細胞)由来と考えられる腫瘍(interdigitatingcell sarcoma)極めて稀な症例(Cancer 1988;61:562)についてもようやく4例を見い出すことが出来、それらのリンパ節病変における主な臨床病理学的.免疫組織学的特徴を報告した(Pathol Int 1994;in press)。今後継続して、これら腫瘍の癌関連遺伝子(p53,bcl-1,bcl-2,nm23等)を中心とした生物学的性状について検索すると共にB細胞腫瘍についても研究を展開する予定である。
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