研究概要 |
リンパ・造血組織の細網性枠組み構造について,電顕的・形態計測的検索をすると共に脾臓と骨髄の間質細胞のモノクローナル抗体を作成して、造血微小環境の一部を解析した。 1.細網性枠組み構築について:ーWistar系テットの脾臓、リンパ節,胸腺と骨髄に潅流処置を施こし,超微形態を観察し,細網線維の電顕寫真上でその全断面積中に占められる膠原原線維の比率を画像解析装置を用いて計測した結果,(1)リンパ・造血組織では、共通して線維性細網細胞が伸展した原形質突起を相互に連結し合い、細網性枠組みを形成しており、細網線維はその原形質突起によって被履されたおり、電顕的に膠原原線維と微細顆粒物質の混合であること,および(2)細網線維中に含まれる膠原原線維はリンパ性組織(リンパ節、胸腺と脾臓の白脾髄)の細網線維の断面上で40-80%を占めており、造血組織(骨髄と脾臓の赤脾髄)の細網線維中の膠原原線維の占める比率(0-20%)よりも着明に多量あることが判明した。 2.細網性枠組みの免疫組織化学的特徴と造血微小環境について:ーマウス骨髄と脾臓の間質細胞を抗原源としたモノクローナル抗体を樹立し、それらを用いた免疫組織化学的検討により、(1)脾髄の白脾髄,胸腺およびリンパ節の皮質・傍皮質の間質細胞に共通した特異的抗原があり、また骨髄間質細胞に特異的に反応する2つの抗体(MBS-1.2)もあること,および(2)骨髄間質細胞と脾臓慮胞周辺帯の間質細胞とにも共通の抗原が存在し、MBS-1抗体と特異的に反応することが明らかとなった。 これらの結果より、リンパ性組織と造血性細織の細網性枠組みを形成する問題細胞がそれぞれ共通の抗原性を持ち、リンパ斑と造血細胞の増殖・分化に関わる微小環境の設営に密接な関係のあることが考えられた。
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