研究課題/領域番号 |
04670219
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
森 浩志 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40028519)
|
研究分担者 |
伊藤 裕啓 大阪医科大学, 医学部, 助手 (10232480)
上野 浩 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90142596)
|
キーワード | 精巣間細胞 / テストステロン / ethanedimethanesulfonate |
研究概要 |
精巣間細胞(Leydig細胞:L細胞)の前駆細胞は何か、あるいは幹細胞は存在するかを知る目的で、L細胞を選択的に障害するとされているethanedimethanesulfonate(EDS)で障害されたL細胞の再生を検討した。 EDS(75mg/kg,ip)1回投与後15日目のラット精巣重量は約1/2に減少し、血中テストステロン(T)値は1/3に、前立腺重量は1/2以下になった。成熟L細胞の総体積は1/10に減少した。投与30〜41日目には精巣重量および血清T値は対照群と同値に改復し、L細胞体質は対照群の70%に回復した。その時点でEDSの2回目に投与を行うと、血清T値、L細胞の数・総体積は2〜4日後に著明に減少し、以後再び着実に増加した。30日後に血清T値および組織単位体積あたりのL細胞数は対照群と同値に復し、L細胞の総体積は60%程度に回復した。 L細胞の障害が回復する1ヶ月間隔でEDSを反復投与し、その1月後の状態をみると、1回投与1月後と同じだった。すなわち、1、2、4回投与30〜41日後の血清T値はいずれも対照群と同値であり、L細胞の総体積はいずれも対照群の約1/2で一定であり、投与回数を重ねてもL細胞がさらに減少することはなかった。 以上の結果は、L細胞の再生・増加は有限の前駆細胞の分化によるのではなく、幹細胞の細胞分裂による供給であることを示している。 当初、EDSはラットのL細胞を選択的に障害すると報告されたが、精細管に対する障害も気付かれている。本研究でもL細胞の障害による血清T値の減少だけでは説明できない精細管障害が認められた。この機序は今後の研究課題として残される。
|